じんちょうげの花咲く頃
第4章 新しい季節へ…
「澪、ちょっと外してくれないか?」
「でも…」
「少し話したいんだ。」
叔母さんは何か言いたげに僕らを見比べると、静かに席を立った。
「…みっともないところ見せちまったな?」
はーっ、と、背中を壁に預け目を閉じた。
「ぼっ、僕の方こそ目上のお二人に失礼な口を聞いてしまって…」
「何だか息子に叱られてるみたいだったよ?」
「そっ、そんな…!」
僕は俯き首をぶんぶん振った。
叔父さんは、ちょっとごめん、と、胸ポケットからタバコを取りだし火を付けた。
「俺は智…お前のお父さんにムカついていたんだ。」
「どうして…ですか?」
「どうしてこんないい子をほったらかしにしてんだろうな、って?」
「いい子だなんて…!?」
「正直、俺はお前のお母さんを嘗めてた。女手一つで男の子を育てるのは無理だろ、って。」
でも、と、叔父さんは僕と反対側に顔を向け煙を吐き出した。
「それがまさかまさかの、生まれながらの王子さまみたいに成長してたんだからな?あ、外見だけのことを言ってんじゃないからな?」
意地悪く笑う叔父さんが僕を人差し指で小突いた。
「お…叔父さんてば、変なこと言わないでください!」
叔父さんは、顔を赤らめる僕を見てニヤニヤ笑った。
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