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じんちょうげの花咲く頃

第4章 新しい季節へ…



「だから、この間、智が帰国した時に思いきって聞いてみたんだ。」


「何を…ですか?」


「零を…俺の息子にしていいか、って?」


「え……?」



どんな顔をしたらいいのか分からなくて、



僕はただただ、俯いてるしかなかった。



「酔ってたからなあ。冗談だ、って思ったんだろ。それも悪くないな、って。」



え……うそ…!



何それ…?



僕がいいよ、って言ったら黙って行かせる、って言うの?



冗談言うなよ?俺の息子だぞ?って、



どうして言ってくれないの?



ひどいよ…お父さん。



瞳の中の涙が溢れ落ちる寸前、



俯いた僕の頭を大きな手がぽんぽんと叩いた。



「…なんて、言うわけないだろ?」



胸ポケットから簡易灰皿を取りだし、丁寧にタバコを揉み消してまたポケットに仕舞いこむ。



「お前、バカだろ?、って言われたよ。」



叔父さんは人懐っこい笑みを浮かべた。



「イヌやネコの子供じゃあるまいし、環が化けて出てきたらどうすんだ、って、さ?」


「ふふっ」



安心したら、



涙が止まらなくなってしまった。





父さん…










あなたは、僕が思っている以上に僕のお父さんだった。


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