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じんちょうげの花咲く頃

第4章 新しい季節へ…



「だから、って、一緒に来ることないだろ?」


「申し訳ありません、社長。潤さんがどうしても一緒に来る、って聞かなかったものですから…。」



頭を抱える叔父さんの側で、



そのもう一人の叔父は呑気にお茶を啜っていた。



「可愛い甥っ子を独り占めにしてるって聞いて、黙っていられなかったしね?」



と、その人はにこにこしながら僕の頭を撫でた。



「は、はあ…」


「しっかし…一段と似てきたね?……ちょっ、何すんだよ?」



さっきまで頭を抱えていた叔父さんの手が急に伸びてきて、真顔で僕の顔を覗き込んできた叔父さんの襟首を掴んだ。



「どうでもいいけど、お前、そのくどい顔を零に近づけるな!」


「くどい…って…なんだよ、自分は仕事に行くフリしてしょっちゅう零に会いに来てるクセに…」


「フリ、って…あのな、ホントに仕事に来てんだって。」


「どーだか…」



折よく襖が開けられ、



叔母さんが大きなお盆を持って姿を現した。



「また、兄弟げんか?」



ほんとに仲いいんだから、と叔母さんは苦笑しながらちゃぶ台に二人分のご飯と味噌汁を置いた。



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