じんちょうげの花咲く頃
第6章 エピローグ ①
智「ああ、このスイカ、めちゃくちゃうまいなあ。」
「………。」
さっきからそれしか言ってないんだけど?
だから、父さんが食い付きそうな生まれたばかりの僕の妹の話をふってみた。
「ね…父さん、碧(あお)の写真、ある?」
智「うん。あるある。動画もあるぞ?」
と、得意気に動画を見せてくれた。
「うわぁ…可愛い。」
智「だろ?樹里に似たんだろな?」
「綺麗だもんね?樹里さん。」
智「ごめんな…」
「何が?」
智「俺、碧が生まれた時、ずっと側にいてやってたのに、お前の時は側にいてやれなくて。」
「そんなこといいよ?碧は女の子なんだし。」
智「そんなん、関係ねぇよ。俺、父親なのにさ…?」
「気にしてたんだ…。」
でも、相変わらずのスイカの食べっぷりに苦笑する。
智「お前はもう食わないのか?」
「もう一杯だし。」
不意に会話が途切れ、どうしたのかと父さんの顔を見つめる。
すると、父さんは照れくさそうに笑い僕から目を逸らした。
智「鏡見てるみたいだ。」
「そ、そう?最近、よく言われるんだ?」
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える