じんちょうげの花咲く頃
第6章 エピローグ ①
智「まあ…でも、俺の実の親父もお袋に婚約者がいたのに口説いてたけどな?」
え?じゃあ…大野のお祖父ちゃんは、他人の子である父さんを育ててた、ってこと?
襖の前で固まっている僕の肩を、後ろから誰かが叩いた。
ビックリして、大声を出すところだったのを、大きな手が僕の口を押さえて食い止める。
翔「立ち聞きなんて、あんまりいい趣味だとは言えないな?」
「だって…」
翔「しかも、愛を語り合ってるところを聞かれた、とあったらどんな目に遭うか…。」
「………そうですね。」
そんな甘い雰囲気でもなかったけど…?
僕は、叔父さんのたん瘤を無言で見つめた。
翔「あっ!!これはヘタしたらこんな目に遭うよ?ってことで?そ、そう、忠告しに来たんだ。」
「なるほど?」
急にしどろもどろになる叔父さん。
しばらくすると、後ろから誰かの視線を感じて振り返ると、
いつの間にか父さんが怖いぐらいの笑顔で見ていた。
翔「に、兄さん、いつからそこに?」
智「愛を語るとか何とかの辺りから。」
「・・・・(汗)」
このあと、叔父さんの頭のたん瘤がさらに増えたのは言うまでもなかった。
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