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涙が出そうになるくらいに。

第2章 決意と覚悟

このままじゃだめだってことわかってる。

ずっとこのベッドの上から離れず、怖がって動かないでいるなんてそんなのいけない。

助けてもらっているのだから、優しい人なはず。

それをわかっているのに動けないのは、どんなに優しい人でも理性が壊れてしまえばなにをするかわからないってことを知ってるから。

子供のときに大好きなお姉さんに襲われたことがある。それからαがどうしてもだめだった。

でもこの人に助けられたおかげで私は沢山のαの前に出されずに済んだ。

鏡を首元で確認すると、噛み跡も一つもなく自分の身体が綺麗なままなことに安心した。

「ほんとによかった…」

これも全部あの人のおかげなのだから…次に部屋に来たらちゃんと言おう。

私にできることはないか。

このまま、助けてもらってばかりではいられない。

そう決意したとき、扉を叩く音がしてあの人が入ってきた。

「あ、あの!!サンドイッチありがとうございました!」

まずはお礼から!
ドキドキする心臓を抑えながら頭を下げると

「ふふ そんなかしこまらなくてもいいのよ?」

と、頭を撫でられた。

「……あの、私になにかできることはありませんか!?」

そう大きめの声で私が言うと、頭を撫でる手が止まり、頭から手が離れていく。

ちょっと寂しい気がしたのは何故だろう。

「そうねぇ…することは特にないのだけれど…あ!!そうね!時々私の話し相手になってくれないかしら!」

目をキラキラさせながらその人は笑った。


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