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自傷中毒

第1章 僕の毎日

屋上への階段の合鍵を使って階段をこつ、こつ、と音を立てて上がりました。
そして、屋上の扉を僕は開けたのです。

いつもは誰もいないはずの屋上。
でも、今日はちがいました。

そこには長い黒髪の先輩がいました。何故先輩とわかったか、それは学年ごとにタイの色が違うからです。

すると、先輩は振り返り、こちらを見ました。

「待ってたわ、切谷潤平くん。」

「ど、どうして僕の名前を……」

先輩は僕の質問を無視して、話を続けました。

「あなたも、辛いこと、沢山あるでしょ?今日なんか、朝、水かけられたんじゃない?」

僕は先輩がそういうと、静かに頷きました。

「やっぱり、ね。」

すると、先輩は僕の手を取りました。先輩の手は、あたたかくて、なんだか落ち着きましたが、その後、その安心を裏切るような事を言われたのです。

先輩はそっと、僕の手首をなぞりました。

「ここをね、カッターとか包丁で切ると、痛くて、沢山血が出るの。だから、まだ、生きてる、現実にいるって確信できていいわよ。あなたも、やってみたら?」

僕は背筋が凍り付くような感覚に襲われました。それをみて、先輩はくすっと笑いました。

「いきなり手首を切るのが怖いなら足や腕を切ればいいわ。幸有ちゃんも腕だし。」

僕は凄く驚きました。幸有は僕の幼馴染みだったからです。
でも、幸有がやっているなら僕も……と思ってしまいました。
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