続・あなたの色に染められて
第7章 キズナ
『…そか。』
戸惑ったのは俺の方だった。
兄貴は少し動揺したが最後まで話を聞くと一度大きく息を吐いて俺に頭を下げた。
『悪かったな京介。』
誰もいない広い貯蔵庫に響く兄貴の声
俺は兄貴と同じように大きな酒樽を見上げた。
今 空の酒樽は来月の終わりに親父と兄貴の技術と伝統で満たされる。
俺はただその酒を売り捌くだけ。
『参ったな。』
昔 ここで親父の目を盗んでよく遊んだな なんてこんなときなのに思い出した。
あのときも感じた
兄貴にはいつだって勝てないんだって
『竜兄 俺に出来ることあったら…』
兄貴と肩を並べたくて必死に追いかけた白球。
キャプテンまで任されたけど兄貴に勝ったなんて思ったことなんて一度もなくて
『あぁ その時は頼むよ。』
絶対に俺になんか頼らないだろうな。
兄貴はいつだって自分の意思を貫いてきたんだから
ここで 身に覚えがあるのかとか、香織さんとはどうすんだとか問いただしても 兄貴はたぶん笑って誤魔化すだろう。
でも 逃げ出すことは絶対にしないはず
『沙希どこにいる?』
『たぶん事務所。』
スマホを取り出して耳に当てながら大きな扉を開けて
『少し沙希借りるわ。あ…もしもしオレ…。』
俺に手を挙げながら中庭に出て行った。
***
『お帰りなさ…キャ…痛いっ!』
京介さんは玄関で靴を脱ぎカバンをそのまま落とすと私を壁に勢いよく押し付けた。
『…ん!ちょっと…。』
唇を荒々しく重ね エプロンの上から力任せに私の胸を掴む
必死に彼を押し退けようと腕を伸ばすけど
『待っ…痛っ!』
その手は簡単に掴まれて頭上の壁に押し付けられた。
『お願ぃ…痛いよ。』
『悪い 黙って。』
こんなこと初めてだった。
強引に舌を割り入れられる私の小さな口からはどちらのものかわからない唾液が溢れだし
『京介さ…待って。』
スカートを捲り上げられると何の躊躇いもなくショーツを下げた。
『…璃子。』
…カチャカチャ
私の瞳を見つめながらベルトをはずす音と彼の荒い息が冷たい玄関に響くと
『…イヤ…っ!』
片足を上げられまだ潤んでもいない私のナカに痛みと共に押し入ってきた。
『…璃子。』
何度も名前を呼びながら腰を打ち付ける彼の瞳はどこか寂しげで
『愛してる。』
私だけをただ求めていた。