続・あなたの色に染められて
第8章 1th Anniversary
『ねぇ教えて?どこに行くの?』
『だから着いてからのお楽しみ。』
彼の運転する車でたどり着いたのは都内の日本橋人形町
車の中に一泊分の着替えが入ったバックを残して京介さんの頭の中だけにある場所を目指して手を繋ぎ二人で歩いた。
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昨晩 京介さんは洗い物を終えた私をソファーに呼び寄せるとおもむろに淡いブルー色の封筒を差し出した。
「私に?」
頷くのと同時に彼の膝の上に座らされると早く開けろとばかりに膝を揺らす。
「なにかなぁ。」
彼の顔をチラチラ見ながら金色のシールを丁寧に剥がすと
「…ん?」
そこには封筒と同じ色のカードが一枚入っていて引き抜くと
「招待状…?」
という3文字の言葉。
首を傾げながら振り向くと少しだけ頬を赤らめて視線をずらす京介さん
「何の招待状?」
表も裏も何度見たって三文字しか書いていないカードを何度もひっくり返して眺めていると
「明日と明後日。」
「明日と明後日?」
京介さんはいつもより小さな声で
「はじめての結婚記念日だろ…」
赤く染めていた頬をさらに紅く染めて
「俺にエスコートさせて。」
だなんて…。
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そして私は今日、京介さんとここ日本橋人形町に訪れていた。
私自身 都内には何度も遊びに来たことはあったけどこの界隈は初めてだった。
『あとどのくらいで着きますか?』
『もうすぐだよ。』
相変わらずどこに行くかも教えてくれない京介さん。
だけど私が尋ねる度に目尻を下げるからきっといいところなんだって思えた。
そして 街中を少し抜け大きな交差点に着くと京介さんは足をピタリと止めて
『ほら着いたよ。』
『え…ウソ…。』
京介さんの視線の先に私の心は感謝の気持ちでいっぱいになる。
…だってここに連れてきてくれるなんて想像もしていなかったんだもの
京介さんは立ち止まる私を少し照れ臭そうに引き寄せて
『ここが東京で一番有名な水天宮様みたいだから まずは夫婦揃ってご挨拶しなきゃと思って。』
たぶん私の知らないところで一生懸命調べてくれたんだ。
『…りがとう。』
『バカ こんなところで泣くなよ。』
クスクスと笑いながら私の濡れた頬を拭ってくれると
『挨拶は基本だからな。』
なんて 照れ笑いをしながら私の手を引き、神様が祀られる社殿へと続く階段を登りはじめた。