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続・あなたの色に染められて

第8章 1th Anniversary


階段を上がると狛犬と鳥居、そして建て替えたばかりの白木が美しい社殿が目に入った。

『お参りする人ってたくさんいるんですね。』

京介さんに手を引かれ手水鉢で身を清め社殿へと進むと参拝するための長い列が出来ていて

『のんびり並ぶとするか。』

他愛もない話をしながら順番を待った。

見渡せば私のように子宝を望む人からお宮参りに訪れる方たちで境内は溢れていた。

やっと順番が回ってくると大きな鈴を一緒にガラガラと鳴らして

2礼2拍手

パンパン

…元気な赤ちゃんが授かりますように

もう一度深く礼をして向き直ると私たちは微笑みあった。

『次はあっち。』

そこには「子宝いぬ」と名付けられた母子犬の像が鎮座して

『犬ってお産が軽いんだってよ。』

『だから子宝なんだ。』

母犬が鈴で遊ぶ子犬を優しく見守っている像を撫でていると

『ここに「ご自身の干支を撫でて子宝、安産、無事成長をお祈りください」って書いてあるぞ。』

犬像の回りには金色の十二支の文字が配された半球が並び

『なるほど。』

冷気にさらされひんやりとした玉を手を繋いでいないほうの手で優しく撫で

『元気な赤ちゃんが授かりますように。』

声に出しながら願を掛けると

『じゃあ俺も…野球を教えたいので出来れば男の子が授かりますように。』

『欲張りはダメですよ。』

『アハハ…そうだな。』

なんて笑うけど なかなか授かれない私に気を使って本音を聞くことができなかったからこんなことが嬉しくもあったりして

『じゃあね、また来るからね。』

母犬の背を撫でまた会えることを願って水天宮を後にした。


『さて次は…』

任せとけと得意気な顔をして

『少し昼飯には早いけど連れてきたい店があるんだ。』

なんてまた地図も見ないでスタスタと歩き始めた。

でも今度はさっきみたいにサプライズじゃなくて そのお店を選んだ理由を歩きながら教えてくれた。

『親子丼?』

『そう。そこは親子丼発祥の店らしいぜ。』

その得意気な顔…きっとそこも調べてくれたんだね。

『水天宮をお参りした後で親子丼なんて…ウフフ面白いね。』

『だろ?』

お洒落なフレンチでもイタリアンでもないけど彼らしいチョイスに私の頬は自然と緩み

『いい?』

『どうぞ。』

彼のポケットに繋いだ手を入れて甘える私は浮かれすぎてるかな…

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