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続・あなたの色に染められて

第8章 1th Anniversary


柔らかな光を彼の背中越しに感じると私はゆっくりと目を開けた。

「…朝…」

目の前には京介さんの逞しい胸板

その中にすっぽりと納まる私は締め付けられるように抱きしめられていて

「…重い…」

言葉で表すなら雁字絡め…抜け出すどころか寝返りすら打てない。

『…苦しい…』

だけどそんな私に気づきもせずに私の耳に届くのは小さな寝息

「…可愛い…」

聞かれたら怒るかな…でも愛おしくて仕方ないんだもの

まだ夢の中の住人の彼にならいいか…

「大好きだよ…」

なーんて…自分で言って自分で照れる私は昨日の余韻がまだ残ってるのかな

目の前の彼の胸に刻まれた紅い華

これは昨晩私が付けた印

昨晩の私は意識を飛ばしてしまうほど彼の体に溺れた。

覚えていることは…

窓に手を付き髪を振り乱した私とその後ろから腰を掴み覆い被さる京介さん

ガラスに反射して映るのは求め合う私たちの姿と 電飾が散りばめられた街が大きく激しく揺れる景色

最後は彼とその時を迎えたくてベッドの上で必死に耐えたつもりなんだけど…

『ダメだ…覚えてない…』

何度も高みに連れていかれた私は意識を飛ばしてしまったんだ

だから彼の胸に唇を押し付けてもうひとつ…

『うーんっ。』

彼に習った通り一点を吸い上げる。

『ウフフ…上出来。』

昨晩よりも上手に刻印できたからもう一度その場所にキスをして彼の胸にピタリと頬を寄せると

『下手くそ。』

私の大好きな掠れた声が頭上から降り注ぐ

いつの間にか力の抜けた腕にグイッと引き上げられると

『起きてたの?』

『起こされたの。』

寝ぼけ眼で少し唇を尖らす京介さん

『おはよ。』

『おはよ…じゃねぇよ…ったく。』

言葉とは反対に私の髪を優しく撫でながら甘いキスを落としてくれる。

『また寝ちゃうの?』

『寝ちゃうの。』

『じゃあ…私先にシャワー浴びてくるね。』

瞼を閉じたままの彼をベッドに残して抜け出そうとするけど

『足どかして?』

『イヤだ。』

『もう、京介さん!』

『じゃあ 二択ね。』

『はい?』

始まった…

『一緒にシャワー浴びるのと…』

『キャッ!』

『昨日の続きするの。』

『…んっっ。』

答えさせてもくれないくせに…

こんな蕩けるような甘いキスをされてしまえば背中に腕をまわすしかないじゃない?

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