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続・あなたの色に染められて

第10章 マタニティ・ライフ


『あの…』

『ん?寝れないか?』

お風呂から上がりいつものように髪を乾かし 少しお喋りをしてベッドに入る

まぁ いつもの流れなんだけど

『そうじゃなくて…』

京介さんの逞しい腕に包まれて柔らかな甘いキスをかわしたのに

『歩きすぎて足痛い?それとも腹張ってる?』

おやすみ…はないんじゃない?

『平気。』

『そか。』

髪を優しく撫で額に唇を落としたまま 京介さんは私の背をトントンとまるで子供のように叩きながら

『璃子が寝るまでこうしててやるよ。』

嬉しいんだけどそうじゃないっていうか…

『あの…』

なんだか少し寂しくて大きくなりすぎたお腹に手を添えて小さく息を吐いた。

『どした?やっぱり辛い?』

溜め息さえも聞き逃さないぐらい大事にしてもらってるってわかってる。

でも…

『…チュー…したい。』

『フッ…はいはいチュウね。』

音を奏でるような唇を合わせるだけのキスじゃなくて…

『…京介…』

こうやって頬に手を添えて唇に舌を割り入れるキス…

『おい…』

こんなに大きなお腹をして求めるのってオカシイですか?

『気使わなくていいぞ?』

『…。』

『俺はその…大丈夫だから。』

せっかくの穏やかな夜彼の言うとおり このまま腕のなかで夢を見るのも悪くはないけど

『…ハネムーン。』

『え?』

『こんな大きなお腹じゃハネムーン気分になれない?』

お酒も飲んでない

『は?』

でも…あなたに酔わされたい

『いいのか?』

コクりと頷く変わりに京介さんの浴衣の胸元に唇を押し付ける。

クイッと顎を持ち上げられ視線を重ねるとすごく優しく微笑んで

『ハネムーンだもんな。覚悟しとけ。』

『…んうっ…』

待ちわびていた息も着けないほど深くて甘い口づけ

…大好きな冷たい唇

『辛かったら言えよ。』

お腹が大きくなるほどに彼の愛し方も変わっていった。

『…ハァっ。』

恐る恐る抱かれた妊娠初期

『…京介…』

少し慣れてお互いの優しさを重ねた妊娠中期

『大丈夫か?』

産まれてくるまでの残りわずかな二人だけの時間を大切にした妊娠後期

『愛してるよ。』

変わらぬ愛情でいつも私を包み込んでくれた。

『…キ…ス…』

唇が重なった瞬間私はあなたに夢の世界に連れてってもらえる。

あと少し…ママじゃなくてオンナでいたい

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