続・あなたの色に染められて
第11章 Hello! My Baby!!
『は?!今週中?』
予定日は来週と言われていたのに
『何かね、お腹の状態は準備OKなんだって。』
今日は忙しくて検診に付き添えなかった璃子からの報告
『子宮口も開いて来てるらしいよ。』
『マジかよ。』
早く逢いたいんだけど 逢えるなら万全の体制で…なんて望んでしまう俺
『予定日は盆休みじゃなかったっけ?。』
毎日見てるからあんまり気付きはしないけど 今日久しぶりに璃子に会ったお袋も「だいぶお腹が下がってきたわね。」なんてニコニコ報告して来たっけ。
『それならおまえ実家に帰れよ。』
『イヤよ。病院遠いいもん。』
産む場所は俺が産まれた病院がいいだなんて 俺も兄貴も兄貴の子達も取り上げてもらった森田家御用達の産院を選んでいた。
『でも…』
盆休み前はとにかく仕事が立て込んで去年だって午前様の日々を送っていたような…
だから もしなんかあったら…なんて考えると不安で仕事も手に付きそうもない俺だけど
『陣痛が来てすぐに産まれる訳じゃないから大丈夫です。一人でタクシー呼んで行けますから。』
『タクシーって…』
オンナって本当にスゴいと思う。
これからひとり命を世に羽ばたかせようとしているのに冷静というか腹が座ってるというか…
『おい…俺が居るときに産まれてこいよ。』
俺は璃子の腹に手を添えてまだ見ぬ可愛い我が子へと言い聞かせるしかなかった。
『さて、よいしょ…イタタタ。』
璃子は大きな腹を手で支えながらゆっくりとソファーから立ち上がる。
最近は足の付け根と腰がすげぇ痛いらしい。
『京介さん、ご飯にしますからお風呂入ってきてください。』
『一緒に…』
『入りません。』
俺を見上げるその愛らしい瞳に引き寄せられるように唇を重ねた。
**
…あれ
京介さんがお風呂に入るとお腹の下の方がキューっと締め付けられた気がした。
『イタタタ…』
立っていられないほどじゃないけど動けない。
なんだか変な感じ
今日は朝からバスに揺られて検診に行って お義母さんと駅前で待ち合わせしてランチを食べた。
それがいけなかった?少し無理しすぎた?
最近張りやすくはなっていたけど今日はなんだろ…少し違う。
私はその違和感を感じている間、深呼吸をして時を過ごした。
おもむろに時計を見上げると時計の針は21時丁度を示していた。