続・あなたの色に染められて
第5章 サマーバカンス
『幸乃さんと美紀ちゃんによろしく。』
『はい!いってきます。』
平日の朝9時。
土日は見学会の案内係として出勤するため 平日にお休みを貰える私は幸乃さんたちと会うために優しいダンナ様に駅まで送ってもらった。
私の住む街は東京の外れ。みんなと会うには小一時間電車に揺られることになる。
改札を出て待ち合わせ場所の時計台の下に向かうと
『璃子~!』
すでにみんな到着していて
『あれ?私が最後?』
まだ 約束の時間じゃないのに 幸乃さんも美紀も萌ちゃんもみんな集まっていて
『だって 待ち遠しいじゃない?』
『そうですよ!萌なんかベビちゃん実家に預けてきたんですから!』
毎日子育てに奮闘している ベビーカーを押す美紀と久しぶりにフリーの萌ちゃんは目を輝かせていて
『私もチーを幼稚園に送り出したらそのまま来ちゃった。』
幸乃さんまで声に音符が走らせていた。
***
『どう?このワンピース。』
『うん 璃子っぽい。』
『っていうか 京介くんそういうの好きそう。』
淡い水色のドット柄のシフォンのワンピース。
一目惚れして早速試着した私
『胸のリボンが可愛いですね。』
考えてみれば この夏 洋服一枚買っていなかった。
毎日毎日お仕事とお祭りの準備に明け暮れ、球場にだって顔もだせなかった。
『それ 旅行のときに着てきたら?』
『京介くん喜ぶよぉ。』
こんな調子でお店を何件もはしごして
『お腹減ったぁ。』
気付けば買い物袋を満載に抱えた私たち。
『まーくんお腹減ったねぇ。』
ずっといい子に眠っていた美紀の愛息子のまーくんは私の膝に座って頬を胸に刷り寄せて
『雅也。ご飯食べるときはちゃんとお椅子にお座りしてね。』
美紀がそう言っても舌をベーと出してしがみつくやんちゃぶり。
『ホント 直也に似て女好きなんだから。』
溜め息をつく美紀だけど 毎日まーくんを追いかける日々だとさっきぼやいてたっけ。
『今日は私とご飯食べようね。』
『うん!』
笑顔で大きく頷くまーくんに美紀は苦笑い。
…私も早く授からないかなぁ…
まーくんの小さな手を握って微笑み合っていると
『璃子さん その後 夜の方は頑張ってます?』
『え?よ…夜?』
『子作りですよ子作り!』
ストレートな萌ちゃんの発言に私は頬を染めるしかなかった。