続・あなたの色に染められて
第5章 サマーバカンス
舌を這わすわけでもなくただ唇を押し当てるだけで何が伝わるのか
胸のピンク色の突起を口に含むわけでもなく 華奢な脚を開いて花弁を攻め立てるわけでもなく ただコイツの体に唇を落とすオレ
ピンク色に塗られた足の小指にまでゆっくりとキスを落とし ただおまえだけを愛してるんだと この小さな体すべてに俺の想いを刻んでいった。
ベッドに座らせ膝まずきを見上げると 俺の髪を撫でながら優しく微笑むおまえ
きっと 無理して笑ってんだよな。
気付いているのに今はおまえのその気持ちに応えたくて唇を押し当てる。
月明かりだけが差し込むこの部屋にリップ音と吐息が波の音と共に奏で
『…んっ。』
時折ビクつく体は愛しさの固まりだった。
そっと寝かせると愛らしいヒップラインと狭い背中に思いの丈をのせて唇を落とす。
俺が和希を可愛がりすぎたのが原因だろう
父親を亡くし母親と二人 習いたかった野球も我慢しなければならなかったと聞いて俺が暴走したんだ。
璃子の優しさに甘え寂しい思いをさせ 結果がこれって俺はどんだけバカなんだろう。
『京介。』
やっとたどり着いた璃子の唇をそっと指でなぞると 少しだけ口を開けて赤い舌を覗かせて掠れた声で俺の名を呼んだ。
『璃子。』
この小さな唇にも押し当てるようなキスを落とすと璃子は泣きそうな顔して俺をじっと見つめて
『…欲しいです。』
Tシャツもまだ脱いでいない俺の体をねだった。
少しだけ体を起こすと俺のTシャツの裾を捲り上げ さっきまで俺がしていたように唇を押し当てる。
その姿がまた愛しくて涙が溢れそうになった。
ふと視線が重なると俺は璃子を寝かせて
『…あっ。』
璃子と繋がった。
『痛くないか?』
返事をするかわりに俺の頬に手を伸ばすと柔らかく微笑んで瞳を閉じた。
吐息を漏らす唇を塞ぎながらゆっくりと確かめるように律動を始める。
月明かりに照らされた少しだけ日に焼けた肌は熱を帯びてキラキラと光り
『璃子。』
もっと近くでその肌を確かめたくて抱き起こすと首に華奢な腕を巻き付けて
『京介…気持ちいいよ。』
首筋に頬を埋めて吐息混じりに伝えてくれた。
その言葉は俺の気持ちが届いたんだっていう大切な証拠で
『愛してるよ。』
こんなちっぽけな言葉じゃ物足りないけど伝えずにはいられなかった。