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続・あなたの色に染められて

第5章 サマーバカンス


『おやすみなさーい。』

二日目の宴会は何事もなく終わりそれぞれが部屋へと戻って行った。

『見て見て!月がすごく綺麗ですよ。』

ドアを開けると大きな窓から月の光が柔らかく差し込んでいた。

まだドア付近にいる京介さんを手招きすると クスリと微笑んでわざとはしゃぐ私を後ろから包み込んでくれた。

窓を閉めていても波の音が少しだけ届くこの場所で真っ暗な海を眺めながら彼のぬくもりを確かめる。

『今日はゴメンな。』

私の小さな手を掬い上げると指を絡めて

『悪かったな 気付いてやれなくて。』

私からは和希くんのことを話さなかったけど きっと耳に入ったのかな

リビングでもいつもに増して私の傍に居てくれたもんね

でも そうやって気を使ってくれるほど問題は大きいんだって彼のぬくもりを感じたら思い知らされた。

振り向くと京介さんは優しく微笑んでくれる。

その笑顔に私の心はいつも満たされてすべてを流せるんだけど

『京介。』

首に腕を絡め目一杯背伸びをして彼の唇を求める私は不安で押し潰されそうだった。

『和希にちゃんと話すから…少し時間ちょうだい。』

時間が欲しいだなんて京介さんらしいなと思った。

子供相手っていうのもあるけどキチンと話をつける気なんだなって

『信じてますから。』

彼の背中に腕を廻して彼の気持ちを確認するように広い胸に頬を埋めた。

髪にキスを落とすとすごく優しい声で

『抱いていい?』

この別荘にはみんながいて 首を縦に振ることなんて出来るわけないのに

『…京介。』

髪を優しく撫でられて瞳が重なれば唇を

ううん

『抱いてください。』

彼の心をねだる私がいた。

額に頬に唇にゆっくりと落ちていく冷たい唇

耳に首筋に鎖骨へと膝を折りながら一つずつ私の体だと確かめるようにキスをして

あっという間に滑るような指先で生まれたままの姿にされると

『愛してる。』

膝立ちをしながら体のすべてにゆっくりとゆっくりと指を這わし唇を押し付ける。

冷たい唇が腰までたどり着くのにどれだけ時間がかかっただろう

闇に響くリップ音に私の体は酔いしれて彼の髪をクシャリと掴む

『…京介。』

やっと私と視線を合わせるとベッドに座らされ

『…璃子。』

掠れた声で名前を呼ぶと長い豆だらけな指を這わせながらまた唇を押し当て私を愛してくれた。

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