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黒子総受け短編集【黒子のバスケ】

第2章 壊れた少年を救う光は

_____TVでよく見る記憶喪失。

黒子はそれになっていた。
何でも、道に倒れているところろを助けたら仲良くなり、共にいたらいつの間にか黒子宅に同居していたらしい。
そして黄瀬は、そこで初めて、黒子が入院していたことを知った。

「黒子っち! 火神っち!」

黄瀬はあれから何も言わず、部活をサボることが多くなった。
元々帝光中バスケ部レギュラー、所謂キセキの世代は周りとレベルが違いすぎで、部活をサボることも頻繁だったが…
赤司も何も言ってこなかった。
彼は今、霜北レミと付き合っている。
共に帰ることも多く見受けられ、レミは羨望の眼差しを向けられて大満足だ。

「! …きせくん…!」

へにゃり、と笑う、可愛らしいを通りこしてもう天使にしか見えない少年……
黄瀬を出迎えた彼こそ、黒子テツヤだ。
彼は今、家を飛び出し黒子宅に住んでいる黄瀬と火神の三人暮らし。
記憶は一切戻っていない。
そして、火神と共に、編入した誠凛中に通っている。

「ただいまっス、黒子っち!」
「……ふふ……おかえりなさい……」

ふんわりと笑うテツヤが愛しくて、バッと飛び付き抱き締めた。
香る甘く優しい黒子の薫り。
それに若干やられながら、黄瀬は家の中に入っていった。


キセキ達は、全員が、黒子がいなくなって一ヶ月もすれば、荒れに荒れた。
ただでさえ、心の何処かで芽生えていた愛情を霜北レミによって刈り取られたんだ。
愛が全て、レミに向くように。
レミに向けている愛情に、皆の心に複雑な痛みが走り荒れていくのを、黄瀬は嘲笑しながら見ていた。

だって。

「お、今日はいつもに増して早ぇなぁ…
 ほらよ」

今は午後3時。
学校が休みの火神とテツヤと、幸せなおやつタイム。

「……うっわ…! これ超美味しいっスよ火神っち!」
「かがみくん、おいしーです…」
「おう、どーもな」

こんな幸せな日々を、アイツ等が手にするなんて、許せないから。

この幸せは、僕のもの。

僕たち三人だけの幸せ______…



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