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修練の鏡と精霊の大地

第2章 物語の扉

 辺りは真っ暗になり、街灯の明かりが点々と夜道を照らす。


 じじいと別れた球也は、住宅街の道を、自宅に向かってトボトボと歩く。


 手にはあの不思議な鏡を持っていた。


「こんなんが何の役にたつんや?」



 十数分前……



「お前さんの悩みなんぞ一晩で解消する」


「嘘や……」


「なんでもかんでも疑うな! ほれ、この鏡を持っていきなされ」


 タクノアンは空き缶を消した鏡を、球也の前に突き出した。


「えっ!?」


「信じろ」


 タクノアンは真剣な眼差しで、球也の顔を見つめる。


「なんか、後からややこしい請求とか来ないなら……」


「無料じゃわ!! ボランティアじゃ!! 無料御奉仕サービスじゃ!! ドヤッ!!」


「わ……わかった」


 押しに負けて、しぶしぶ鏡を手に取った。


「いいか、午前0時にその鏡を覗いて見ることじゃ。そして、何か見えたら、それに手をかざせばよい。ただし、午前1時には何も覗くんじゃないぞ。無事に願いが叶ったのなら、ちゃんと鏡を持ってくるんじゃぞ」


 今、球也はタクノアンが言った事を思い出す。


「ま、試すだけ試してみよっかな」



 歩き続けると、家が見えてきた。


 家の玄関に着くと、球也は少し、入るのをためらった。


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