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修練の鏡と精霊の大地

第2章 物語の扉

 外見は白い、二階建て一世帯住宅だが、球也には、闇の魔物が住み着いている巣に思える。


 また、肩身の狭い思いをして家族と接しなくてはいけないのか?


 気が重い。


 大きなため息を何度ももらす。


 ここんとこ、毎日がこれの連続だった。


 部活にも参加せず、帰宅したくない衝動にもかられているため、帰宅部とも言えない。


 時は午後7時。


 ようやく家に入ると、リビングから賑やかな音がする。


 父親の球蔵がテレビで、プロ野球を見ている。


「おっしゃー!! いったれいったれ!! バチンとかまして取り返したれ!!」


 どうやら贔屓のチームが、負けているようだ。


 こうなると食卓にドンヨリとした空気が流れ、イライラの矛先がこちらに向いてくる。


 勝ってくれている方が、なんぼかマシだ……。


「ただいま……」


 囁くようにそう言うと、静かに階段を上がる。


 二階には、弟の優也がいる。


 顔を合わせたくはない。


 自然と階段を上る足取りが、重くなる。


 しかも、皮肉にも同じ部屋。


 あの試合から、居心地が悪くなってしまった。



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