テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第1章 黄昏時に出会して……

 晴れ渡る、広い青空。


 それは、どの方向でも、どこまでも続くブルーな世界。


 空は、この世であれば必ずどこかの海や大地に繋がっている。


 だが、時として、その空は異世界へ通じる空間と化す。



 時は西暦20XX年の5月。


 とある河川敷の草村に、一人佇むブレザー姿の男子高校生の姿があった。


 栄球也(さかえ きゅうや)高校三年生。168cmでクリクリの丸刈り頭がよく似合う。


 時は、陽が沈み始める午後の4時。


 キラキラと光を反射させながら川の水面は、音も無く流れていく。


 川を跨ぐ高架の上には、勢いよく電車が『ゴォーーッ!!』と音を発てて走り去り、その下を自転車に乗った中年男性が、通り抜けていった。


 そんな景色を眺めながら、球也は何度も「はぁ……」とため息を吐く。


 彼は野球部に身を置く高校球児。


 春の高校野球、予選大会での事。


 そこに、球也のため息の理由があった。


 9回裏。


 後、一人を押さえれば3−2で勝利し、憧れの甲子園に駒を進める事が出来た……はずだった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ