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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

『バァァァーーーン!!』という音とともに叩かれた木は、中ほどからメキメキと折れだした。


 すると、折れた所から、まるで間欠泉のように、水が吹き出した。ユングが見付けたかったのは、井戸の木だった。


 そしてその大量の水は炎の巨人目掛けて、ふきかけられた。


「見たか! 成長した井戸の木は、蓄積された水がパンパンになって入っているから、消火栓の代わりになるんだよ」


 ユングのウンチクの勝利だった。


 全身の炎が瞬く間に消え、徐々に黒くなった体が露出してくる。


 苦しそうに悶える巨人に、容赦なく水が吹きかかる。


 やがて、炎が消えた巨人の体は、ただの炭の固まりと化し、大地にうつ伏せて倒れた。


「炎の巨人、敗れたりぃ!! 小さいからってバカにすんな!!」


 ユングはガッツポーズで勝ち誇った。


「俺が手を出したわけじゃないけど、なんか嬉しいなぁ」


 ユングはそう言うと、雨のように降りそそぐ井戸木から出る水を浴びながら、大の字になった。


「プハッ!! 気持ちいいなぁ……わりい……莉子さん、コウヤさん、俺、もう立てない」



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