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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

 その村人の周りから、みんな離れだした。


「待て……待て……追い出すのか? 殺すのはやめてくれ」


 村人は怯え、うろたえた。


 そんな村人にペタロは言った。


「あなたはいま、私達を殺そうとしたんだ。同じ立場ならどうする? これが、あなたの奥さん子供だったら追い出せるか? 殺せるか?」


 村人達は言葉を失った。


「もう少し待って下さい。必ず薬は出来ますから……私は皆さんを死なせません」


 ペタロがそう言うと、感染していない村人は、渋々退散していった。


 感染した村人は奥の治療室に連れて行き、待機させた。


「先生……ごめんなさい」と純化は言った。


「いえ、謝るのは私の方です。私が感染者だってのが知れわたり、私には何も売ってくれませんでした」


 ペタロはそう言うと、椅子に座ってうなだれてしまった。


 純化は、ペタロの頭から血がにじんでいるのを見つけた。


「先生、頭、どうしたんです?」


 ペタロはソッと、頭に手を触れた。


「痛っ!! さっき、感染者って言われて石を投げられました……ま、気持ちはわかりますがね」



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