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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

「いや、私は医者です。あなたを守ります。そして、治療します。絶対に治します。この村ではワラワラ感染者は村八分より、酷い扱いを受けます。感染力が強くて早いので、追い出すか……殺されてしまいます。それが、よそ者なら尚更なんです」


 ペタロはそう言って、純化をベッドに乗せた。


 村人は手に木の棒や、クワを手にし、一人は松明を持った。


 松明は不気味に赤い火を揺らしていた。


「ペタロさん、あんた、そいつをかばうってんならあんたも追い出すしかない。それも拒むのであらば、この施設とそこの人間と一緒に焼き払うしかない」


 男はペタロの前に火を突き付けた。


 ペタロはすっと前に出た。


「やってみるがいい。ただし、私が死んだら薬を作るものがいなくなる。誰か一人がワラワラに感染したとするならば、一発で村は崩壊。そして、いま私自身が感染している。私がいま、こうしたなら……」


 ペタロは村人一人の露出された肌に、手を触れた。


「うわっ!! やめろ!!」


「これだけで感染した。もう、あなたも私と同じだ」



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