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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 ソーヤの方が早かった。


『カチッ』


 ボタンが押された。


 巨大な箱の中から、白い煙が噴出する。


 奈美と球也の目にはそれが、スローモーションに感じた。


 ことの重大さに、やっと気が付いたソーヤは、謝る素振りもなしに石になった。


 箱のフタが開いた。


「ソーヤのアホーーッ!!!!」


 球也はへたりこみ、奈美は頭を抱えてしゃがみこむ。






 なにも起こらない。


 球也は口を開けたまま固まっている。


 奈美はソッと頭を上げ、薄目を開けた。


 徐々にまぶたの隙間から見えてくる光景。ハッキリとわかった瞬間、驚きのあまりにガッと目を見開いた。


 ライオンが石のようになって動かない。それどころか、体の周りにいくつもの半透明の立方体が螺旋状に並び、それが天井まで続いているのだ。


「か……か……」


 球也の声が出るようになった。


「固まってるやん……なん……なんで……」


 奈美が球也の腕を引っ張る。


「えっ!? なに?」


 この事態がわからない。


 奈美もよくわかっていなかった。



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