修練の鏡と精霊の大地
第15章 元の世界
深夜の国道を、750ccはあるだろう、一台のバイクが、大きなエンジン音を鳴らしながら走っている。
乗っているのは、赤いヘルメットに黒のライダースーツ姿。背中に小さなリュックを背負っている。体つきからして、女性のようだ。
トラックや普通乗用車を、レースのように次々と追い抜き、信号も赤になる寸前に過ぎていった。
途中、輸送トラックの運転手から「危ねえぞこらぁっ!!」の声がとぶ。
その声が聴こえているのか、はたまた無視か、または「チッ! うるせぇバカ」とグラグラと、胸の内を煮えくり返しながら走っているのか……。
バイクはやがて、大きな公園の前で停まった。
バイクから降り、ヘルメットを取った。その下から見えた顔は、妖精の世界で球也達と一緒に旅をした、百地莉子だった。
U字型の鍵を車輪にはめると、さっそうと公園の中へ入っていった。
数本の外灯が照らす公園の中を、莉子は辺りを見渡しながら歩く。
道路沿いの、誰もいない自然公園の中、莉子はブルーシートで作られたテントを発見した。
莉子は険しい表情で、そのテントに近付いた。
テントは木と木の間に太い紐をピンと張り、その上からシートを被せて三角に広げ、左右、段ボールでフタをして、四隅を大きな石で固定させている、簡単な造りだ。
莉子は段ボールを取り、中を覗いてみた。
中には、白い大きな布を体にまとい、赤い毛糸の帽子をかぶった、70代の男性が背中を丸くして座っていた。
乗っているのは、赤いヘルメットに黒のライダースーツ姿。背中に小さなリュックを背負っている。体つきからして、女性のようだ。
トラックや普通乗用車を、レースのように次々と追い抜き、信号も赤になる寸前に過ぎていった。
途中、輸送トラックの運転手から「危ねえぞこらぁっ!!」の声がとぶ。
その声が聴こえているのか、はたまた無視か、または「チッ! うるせぇバカ」とグラグラと、胸の内を煮えくり返しながら走っているのか……。
バイクはやがて、大きな公園の前で停まった。
バイクから降り、ヘルメットを取った。その下から見えた顔は、妖精の世界で球也達と一緒に旅をした、百地莉子だった。
U字型の鍵を車輪にはめると、さっそうと公園の中へ入っていった。
数本の外灯が照らす公園の中を、莉子は辺りを見渡しながら歩く。
道路沿いの、誰もいない自然公園の中、莉子はブルーシートで作られたテントを発見した。
莉子は険しい表情で、そのテントに近付いた。
テントは木と木の間に太い紐をピンと張り、その上からシートを被せて三角に広げ、左右、段ボールでフタをして、四隅を大きな石で固定させている、簡単な造りだ。
莉子は段ボールを取り、中を覗いてみた。
中には、白い大きな布を体にまとい、赤い毛糸の帽子をかぶった、70代の男性が背中を丸くして座っていた。