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修練の鏡と精霊の大地

第15章 元の世界

『俺だ、わかるか?』


 男の声だ。


「あの……ひょっとして、莉子さんのお父さんですか? 僕ら、付き合ってもいないんで……」


『なにを言ってる!! 俺だよ! 佐田勇樹だよ!』


「なにっ!!」


 コウヤは耳をはなした。


 なぜか画面を見るが、「通話中」の文字と、莉子の電話番号しか出ていない。


「なんで、お前が桃尻の電話を? まさか、Hしてたのか!?」


『バカか!! なんで、ストレートにそっち方向なんだよ! 違う、俺は携帯を借りて、話しているだけだ』


「なんでお前が桃尻と一緒にいるんだ? てか、あの世界から出たのか?」


 コウヤの問いに、勇樹はすべてを話した。


 塔の中で会ったこと。精霊の力で橋が出来たこと。球也と奈美のことも話した。


 その話を、相槌をうちながら聴いた。自然に顔がほころぶ。


『……で、そこから俺が落ちたんだが、なぜか気が付いたら自分のベッドの上で2〜3回弾んでた。あれはマジで死んだと思った』



「そうか……キュウのやつ、頑張ったんだな。奈美も喋れるようになったんだ。声、聴きたかったな。ま、今となりゃ、なんにも出来ないがな」


 そう言って、コウヤは海を眺めた。波は静かに動いている。


『コウヤ!!』と今度は莉子に代わった。


「ん? なんだ桃尻?」


 電話の向こうでは、莉子が空を眺めていた。


 勇樹も、なにやら険しい表情で、空を見上げる。


「コウヤ……なんか、このまま終わりそうじゃないね」


 コウヤは電話に耳をあて、海を見ていたが、徐々に表情が変わってきた。


「あぁ……まだNEXTあるぜ」










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