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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

 球也と奈美は小高い丘の上で、仰向けで気を失っていた。


 目を覚ましているのは、精霊達だ。


<ここはなんや? 初めてくる場所やさかい、わからん>


 空は青く、あたり一面、緑の芝生で覆われている。


 それ以外、なんにもない。ただただ「丘」である。


 ソーヤは水の精霊を呼んだ。


<あんなぁ、ちょっとあの二人の顔にちべたぁ〜いのをぶっかけたって>


 水の精霊は軽く了承。


 両手を出して、力をこめた。


 すると、二人の顔の上に、なにやら小さな水の玉が出来てきた。


 水の精霊は手のひらを、グー、パー、グー、パーと繰り返して動かした。


 水の玉はどんどん膨張していく。


 そして両手を上げ、一気に振り下ろした。


 ボーリングの玉ほどに膨張した水の玉は、二人の顔を目掛けて落下。


『バシャーン!!』と水風船が割れるようにはじけた。


「だーっ!! 冷たいぃっ!!」


 フォールされて、2カウントで跳ね上がるプロレスラーのように、球也は目が覚めた。


「なになにぃ〜、つぅ〜めぇ〜たぁ〜いぃ〜っ!」


 奈美は、やや貧血気味のように起きた。


<いつまで寝てんねん!! あんたら、そんな時間無いやろ!!>


「えっ……」


 顔を拭い、辺りを見渡す。


 まるで、春のピクニックのような光景に、やや気分は落ち着き気味だった。


「あ、たしか、天の悪魔かなんか……ここにおるんか?」そう言って、球也は頭をかく。


 精霊の大地の山奥にある冥界で、闇神や暗黒の釈迦らをまとめた総称「天の悪魔」のいる場所に通ずるとされる井戸に飛び込んだ二人。


 着いた所は、そんな闇の者がいるようには見えない場所だった。



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