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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

「こんな所に本当にいるんですか?」


 奈美はさっそく弓を手に持った。


 球也は、ブルッと身震いをした。


「てか、俺達と精霊の力だけで勝てるんか? それが心配やわ」


<大丈夫、このソーヤさまにまかせなさいって>


「いや、来年寿命だろうが!! 一番心配やわっ!!」


<だからやで。うちは自分の最後がわかってるから、精一杯、自分としての力を力を試したいんや。ギリギリでやっとなった、最高位の樹木の力。やっと備わったんや。フルに使うで>


 球也の目には、ソーヤがたくましく見えた。


「ねぇ、とりあえず、どこか移動しましょう。ここにいたって、なにも見つからない」


 確かにそうかもしれない。だが、いまいるこの場所が、一番見晴らしがよく、何かが襲ってきても、一目瞭然。


 自分から行くか、相手が現れるのを待つか……。


 ここは山の頂上のように360度見渡せる丘の上。。敵が来れば、すぐ攻撃がしやすい。


 そもそも、球也はここを動きたくなかった。


 なぜなら、怖いから。


 自分の剣が通用するのか? 奈美の弓はダメージを与えられるのか? 精霊の力はどんなものなのか?


 すべて未知数からの始まりだった。


 しかも、相手に対して、なんの情報も得られてないまま、成り行きでここまで来てしまった。


「最初は水だけ取ってこいって話だけやったやん。なんで、そのままラスボス一直線やねんなぁ……勝てる要素、なんもあらへんで」


 ぶつくさと愚痴を溢す球也をしりめに、奈美は遠くを見つめた。




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