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修練の鏡と精霊の大地

第16章 天の悪魔

「話を聞きなさい!!」


 神様は強い口調で、言い放す。


「お前達は、神様にそんなことを頼むのか?」


 そう聞かれると、三人はウンウンと頷く。


「頼むから口で返事してくれ。黙ってたらわからないから……」


「いや、みんな人間は神社やお寺で神頼みって、してますよ。でっかい鈴鳴らして、お金入れて、柏手うって……」


 球也は賽銭を投げるフリをし、鈴を鳴らすフリをし、手を叩くフリをし、拝むフリをした。


「わしに対して、そんな面倒くさいことをしておるのか……」


 三人の中で神様に対する信仰心が、音をたててガタガタに崩れはじめた。


「ところで神様……あの、闇神ってご存知ですか?」と奈美が聞いた。


「闇神?」


「はい……実は妖精達の世界で……」


「妖精? 妖精だと!?」


 神様の声色が変わった。


「ど、どうかされましたか?」


「下部達は、まだやつらを食い止めておらんのかぁーっ!!」


 突然、怒号が闇に響いた。


 三人は体をビクつかせる。


 奈美はゴクリと息を飲んだ。


「下部と言うのは?」


「我々には力がない。なので、下部となる異形のものたちを向かわせているのだ。しかも、まだ抑えきれてないとは……」 


「だから、下部って、なんですか?」と何度も奈美は質問を投げ掛ける。


 淀屋橋が奈美の肩を叩いた。


「なんすか?」


 間違えて球也の肩を叩いていた。


「いや、あのなぁ……神様が言っとる下部と言うのは……お前達が散々、倒してきたあの怪物達じゃよ」 


「な、なんですってぇぇーーっ!?」


 奈美と球也は驚いた。




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