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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 球也と奈美、そして淀屋橋は翼竜の背中に乗って大空を移動していた。


 前方に球也。真ん中に奈美。一番後ろに淀屋橋がいる。


「知らなかった。こいつも、神の使いだったんだな」


 球也はガッシリとしがみつきながら、そう言った。


 すると奈美がある疑問を持った。


「じゃあ、どうして私達に襲ってきたの?」


「うむ、簡単じゃ。見た目は人間も妖精もかわらんじゃろ。我々も妖精の衣類を借りておる。やつらは人間と妖精の見分けがつかないから、襲ってくるんだ」


「そっかぁ……おじいちゃん、生物の精霊を持ってたから、怪物達に自分は敵じゃないと伝えられたんだね」


「うむ……それに、もし、わしが生物の精霊を見つけられなかったら、あの神様やお稲荷さんを攻撃していたのかもしれん。まあ、その前に精霊の大地に行く所で諦めたんだがな」


 塔の上からなら、翼竜に乗っては行けるだろうが、その前にあの塔に登っていくのは大変であろう。


 それに、神様は思っていたよりも、弱い存在だった。


 神様と会っていた時……。


「最後にお尋ねしたいんですが、神様はどんなお姿をしているのですか?」と淀屋橋が聞いた。


「もう、目の前にいるではないか」


 この暗闇の中、どこにいるのだろう?


「えっ……わかりませんが……」


 淀屋橋がキョロキョロしていると、球也が「また火をつけてみれば……」と言った。


 さっそく火の精霊が、火を灯す。


「わっ!! だから、熱いから火はやめなさい!!」


「?」


 神様の姿、それは、暗闇そのものだった。


 見たままで言うならば、闇神と呼ばれても仕方がない。


 おそらく、暗黒の釈迦というのは、お釈迦様のことだったのだろうが、どんなお釈迦様か、見てみたい気がした。



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