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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

 河川敷で鏡に吸い込まれた球也は、真っ暗な林の中にいた。


 ひんやりとした空気が顔に当たり、背筋をゾクゾクとさせる。


「ここはどこよっ!?」


 不気味な雰囲気が漂う木々の間に、球也はたたずんでいた。


<さぁ、鏡が連れてきた場所やからなぁ。どこに来たんやろ?>


「呑気に言うてる場合ちゃうで、どないすんねん!!」


<まあ、なんとかなるわ。成り行きにまかせましょ>


「まかせたから、こんな場所に来たんだろうが」


<あ、あの鏡持っといてや。あちこち移動するのに使えるで>


「かがみっ!?」


 球也は下を向いた。だが、自分が持っていた鏡しかない。


<ちゃうちゃう、あんさんの目線のちょい上>


 球也は少し頭を上げた。


「えっ!? マジで!?」と驚いた。


 そこには青く光りながら宙に浮く、鏡があった。


 球也は鏡に、ソッと手をのばす。


「どうなってんの!?」


<まあ、なんとかえもんのなんちゃらドアみたいなもんやな。つまり、さっきいてた河川敷にはもう、この鏡はないさかい>


「鏡ごと移動するってことか……てか、ソーヤ、よく使い方を知ってたね」


<うちは、ずっとタクノアンと一緒におったから、鏡の使い方は見てて知ってるんや。ここに来たってことは、なにか意味があるはずやで>


 そうは言っても、球也はなんのことか、ちんぷんかんぷん。


 しかも、場所は雑木林の中。ここになにがあると言うのだろうか?



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