テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

「ところで、この鏡の使い方は知ってるんだよね?」


<まあ、だいたいわね>


「一千万出せる?」


<それはうちには無理やわ>


「……そっか」


 がっくりと肩を落とした。


 明かりの無い雑木林の中を、ゆっくりと進む。


<待った、うちの言う通りに歩いてや>


「えっ、なんで? なんか、怖いやん」


<ちゃうちゃう、ここの木や草が道を教えてくれてるんや。うちが通訳するさかい、このまままっすぐ5歩進んだら左に向いてまっすぐ進む>


「ここから5歩……1、2、3、4、5」


 左に向いて歩いた。

『ゴツッ!!』


「痛っ!!」


 目から強い火花が散り、激痛が走った。


 かなりおもいっきり、額をぶつけていた。


「つぅーっ……なんやねん!! 5歩で左って言うてたやんけっ!!」


<一般の1歩の幅と、あんさんの1歩の幅は、多少の誤差があるみたいやなぁ>


「それ、危ないわいっ!! ここが崖やったら、頭ゴッツンですまされんぞ!! ほんまにそれ、木が言うてるんかい!!」


 球也は額をさすりながら怒鳴る。


<言うてるから、うちが伝えてんねん。せやけど、今は暗いから、木らもなにも感じてへんし>


「このまま進んでたら朝までに死んでまうわっ!! ここ、マジでどこやねん!? 富士の樹海とかとちゃうやろなぁ……」


<ここ、京都やて>


「きょ、京都? 」


 それを聞いて、球也は少しホッとした。ここが日本で、しかも近畿だということで、やや安心した。


 だが、さらなる不安。月も隠れ、まったく光の無い、雑木林のある山のような場所。


 うかつには進めない。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ