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修練の鏡と精霊の大地

第19章 移動、そして集結

「なるほど、このじいさんなら安心だな」


 勇樹は淀屋橋の若々しい肉体を見て、それを称賛するような笑みを浮かべた。


「おじいちゃん、奈美ちゃんに会ったら、よろしく言うといてや」


 球也は淀屋橋にそう告げた。


「伝えておきますよ。それと、早く終われば、一緒にそちらに向かいますぞ」


「いや、それまでには、こっちも片付いてますよ」とコウヤは笑った。


 淀屋橋は鏡に片足を突っ込んだ。


「皆さん、必ず、また一人も欠けることなく集まりましょう」


 そう言い残して、鏡の中に消えていった。


 淀屋橋の最後の言葉の重さを、一人一人が、全身に受け止めた。


 球也は、心にある怖さを散らそうと、緊張感の中にもわざとおどけてみせたりもしたが、この時ばかりは、顔は笑ってなかった。








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