Dioic
第3章 異変
両生器具種、とは
通常は男性、女性どちらかの性別で生まれてくる。
だが、男女双方の特徴を持って生まれてくるのが彼らだ。
胎児期に性別の分化・発達過程で起こった単体奇形と考えられていて、細胞分裂がうまくいかなかったり、性別に関する遺伝子に異常が生じたりすることが原因だとする説がある。
彼らは男でもあれば女でもあるというわけではない。
見た目こそ中性的だが、その性器は卵巣精巣どちらかしかない。
染色体と外性器の性別が異なるといった特徴がある。
性器こそ男でも染色体の数によって女でもあるのだ。
両方を完全なる機能を備えて生まれてくるということはまずありえない。
染色体によって人間は性別が決まり、成長してくるにつれ、生殖機能機能が停止することもあれば、生まれてからもうすでに持っていない者もいる。
まず、ありえないのだ。
だから、父さんはぼくがどんなに気味の悪い存在でも側に置く。
だから母さんは僕が怖くても何も言わず家にいられる。
良平は、なにも知らない。
そう。
僕が夜な夜な良平の影を追って臭くて油でべっとりしている男に抱かれていることも。
良平の入った後の湯船で女が疼いて止められなくて自慰にふけていることも。
良平を、良平に、良平が。
壊してほしい。
ぼくを。
男でなく、女にしてほしいと。
良平にだけに望んでいることを。
彼は知らない。
ぼくは、不潔だ。