テキストサイズ

Dioic

第3章 異変


人間は生きているうちに脳の機能を10%しか使わない。残りの90%は使わずにほとんどの人間は死んでいく。




よく聞くが、これはまったくの嘘である。

グリアという脳に信号を送るサポートをする細胞が信号の伝達のみしか働かないということから派生してこのようなデマになって世に広まったのである。

複合的に脳は1日通して広い範囲で使われており、フルで動いている。

実際、事故や手術でほんのわずか脳が傷ついただけでも障害が残る。

頭を使う作業をすればするほど、脳に刺激を与え続け脳の機能を使えば使うほど、補完機能も向上する。


でも不思議な話。

事故により記憶障害になった女性が脳外科医によって脳を刺激するという過激な手術の結果がある。

主治医は彼女の言語を司る前頭葉の先端部分、前頭前野の一部を電気を使い刺激。

すると彼女はイギリス人にも関わらずドイツ語を喋り出したという。

意識のある中麻酔を打って手術していたので、彼女はなぜドイツ語を自分が喋っているのか理解できず、混乱した様子だったという。


本当に、人間は脳を完全に使って生きているのだろうか。


サヴァン症候群というものがある。
この障害は通常の人間より記憶力が優れているというものである。

なにを記憶させるにも容量というものがあるがサヴァン症候群はこの容量の限界が計り知れない。
未だこのメカニズムは解明されていない。

見たままに覚えて、模写もできる。


普通の人間がいて、頭が良い悪いということではない。


ずば抜けて産まれながらに通常ではありえない能力に目覚めた人間たち。


医学的に見て何も変わらないのに、何かが違う人間たち。

それはある意味、障害者であると言えると僕は思う。


あのことがあってかあさんは少しぼくを怖がるようになった。
当然だと思う。
未来が予知できる人間なんてSF映画じゃあるまいし現実にいるなんて。

怖がって当然だ。

父さんはぼくを怖がりはしなかったが、あれから何度も何度も1日かけて検査したり、尋問にも似たカウセリングを受けされたり、一度だけ3日間アメリカで色んな人間に囲まれて今まで見たことがない機械を使って検査されたりした。

ぼくはもう、金城家の子供ではなく、変な力を持った異能者になったのだろうか。


いや、最初からぼくは変だっただろ。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ