Dioic
第3章 異変
ぼくには変な能力がつき、
良平は前より少しおっちょこちょいになった。
これは、何かあるのか?
「っ!・・・うう」
ああ、いまズキっときた。
股からドロリと生暖かいものがつたる。
ナプキンに染みこまないほどの量が出た気がする。
最悪だ。
こういう時に限って1日目。
キーンコーン
「今日はここまでー!
明日小テストするから今日出来なかったところは予習しろよー」
はやく、トイレに行きたい。
「純ー、予習っていったいどこだよな。あいつ範囲言わないで行ったよ」
良平の声が後ろから聞こえてきた。
真面目だな、相変わらず。
「誰かっ、聞いてるよ、多分・・・」
「はぁー、今日一緒にやろうな」
あ、もうむり。
「ぼくちょっとトイレ・・・」
「おう」
股から出てくる感覚に耐え切れず席を立って教室を出た。
みんな疑問だろう。
ぼくが生理の時のトイレ事情。
ぼくの教室は3階。
教室を二つ越えて階段を上がる。
踊り場からあちらの校舎を横目で見る。
4階に出て、渡り廊下を歩く。
そしてまた階段を降りて2階にでる。
この棟のこの階は、受験の時期に補修として使われる事以外あまりないので人通りはないに等しい。
早足で4つ教室を通り過ぎていく。
一つだけ鍵のかかっていない部屋。
ぼくは扉を引き、中へ。
左の隅にドアがある。
ぼくは生理の時、ここにある女子トイレを使うのだ。
ドアを引いて、中に入り鍵を閉める。
「・・・はぁ」
こんな面倒な事いつまで続くのやら。
学校でぼくの体の事情を知っている先生はいない。
父と母には消臭機能付きのポシェットをもらったが、冬場は良くてもあったかくなるとさすがに匂いがでる。
そんなときはここのこの教室を使う。
1年の5月頃、偶然というかこの教室がトイレ付きで何故かいつも鍵がかかっていない事に気づき、生理の時は使っている。
1ヶ月経って汚物入れが交換されているのを見るときちんと掃除もされているらしい。
ここは誰もいなくて不安なくトイレに入れるし、本当に時々一人で来てぼーっとしている。
ぼくだけの空間だ。