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キラキラ

第31章 イチオクノ愛


客に見えないように、ササクラくんが、身を低くして俺を抱いた。

バーに、生き物がいたらダメなんだろうね。

ごめん、分かってるんだけど……!


これ最大のチャンスかも!!


俺は、一か八かで大きな声を出した。


「わん!」


松潤!!!


「あ、こらっ。シーーっ」


ササクラくんが焦った顔で、俺を抱き締め直したのと、


「ごめん、ササクラくん、その抱っこしてる犬見せて」


カウンターの外から、見慣れたイケメンが、身を乗り出すようにしたのが同時だった。





***********



「……にのには連絡してやったのか?」

「うん。でも電話しても出ないんだ」

「相葉くんには?」

「電源きれてた」

「ふーん……ま、一緒にいんだろ?どーせ」


言って、翔ちゃんが俺を抱き上げて、なぁ?、とくりくりの瞳で俺を見つめた。


……そんな俺は、心中穏やかじゃない。

なんだよ?
にのもあいつも連絡とれないって、どーゆーことだよ?!


も……もしや二人でニャンニャン……


だああああっ!やだーーーっ!!


「あ、おいこら、暴れんな」

翔ちゃんの腕のなかで、ジタバタ身悶えたら、翔ちゃんは慌てたように俺を抱え直す。


「ハルオおとなしいのに。翔くんの抱き方が変なんじゃないの?」


クスクス笑って、松潤は翔ちゃんの腕の中から、俺を抱き上げた。


「んなことねーよ。突然騒ぎだしたもん」


翔ちゃんが、ぷうと頬をふくらます。


「ふふ……はい、ハルオ。腹減ったろ?」


俺は松潤ちのツルツルのフローリングにおろされ、山のようにハムののった皿を差し出された。


!!!メシーーー!


「連れて帰るとき、なんか腹の虫がないてる気がしたんだよね」


そーそー。もー俺、腹ペコで……!
いっただっきまーす!


「はい、どうぞ」


そのままガツガツ食べ始めた俺のそばに松潤がしゃがむ。

翔ちゃんが不思議そうに呟いた。


「……おまえ、まるで、ハルオの言葉わかるみてーだな」

「なんとなくだよ」

「……俺も酒のつまみが欲しいんだけど」

「用意してるよ。はい、翔くんはこれ」

「さすが」


勝手知ったるって感じで、松潤の家のソファーでグラスを傾ける翔ちゃん。


俺はムシャムシャとハムを咀嚼しながら、二人の様子をうかがった。


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