
キラキラ
第31章 イチオクノ愛
客に見えないように、ササクラくんが、身を低くして俺を抱いた。
バーに、生き物がいたらダメなんだろうね。
ごめん、分かってるんだけど……!
これ最大のチャンスかも!!
俺は、一か八かで大きな声を出した。
「わん!」
松潤!!!
「あ、こらっ。シーーっ」
ササクラくんが焦った顔で、俺を抱き締め直したのと、
「ごめん、ササクラくん、その抱っこしてる犬見せて」
カウンターの外から、見慣れたイケメンが、身を乗り出すようにしたのが同時だった。
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「……にのには連絡してやったのか?」
「うん。でも電話しても出ないんだ」
「相葉くんには?」
「電源きれてた」
「ふーん……ま、一緒にいんだろ?どーせ」
言って、翔ちゃんが俺を抱き上げて、なぁ?、とくりくりの瞳で俺を見つめた。
……そんな俺は、心中穏やかじゃない。
なんだよ?
にのもあいつも連絡とれないって、どーゆーことだよ?!
も……もしや二人でニャンニャン……
だああああっ!やだーーーっ!!
「あ、おいこら、暴れんな」
翔ちゃんの腕のなかで、ジタバタ身悶えたら、翔ちゃんは慌てたように俺を抱え直す。
「ハルオおとなしいのに。翔くんの抱き方が変なんじゃないの?」
クスクス笑って、松潤は翔ちゃんの腕の中から、俺を抱き上げた。
「んなことねーよ。突然騒ぎだしたもん」
翔ちゃんが、ぷうと頬をふくらます。
「ふふ……はい、ハルオ。腹減ったろ?」
俺は松潤ちのツルツルのフローリングにおろされ、山のようにハムののった皿を差し出された。
!!!メシーーー!
「連れて帰るとき、なんか腹の虫がないてる気がしたんだよね」
そーそー。もー俺、腹ペコで……!
いっただっきまーす!
「はい、どうぞ」
そのままガツガツ食べ始めた俺のそばに松潤がしゃがむ。
翔ちゃんが不思議そうに呟いた。
「……おまえ、まるで、ハルオの言葉わかるみてーだな」
「なんとなくだよ」
「……俺も酒のつまみが欲しいんだけど」
「用意してるよ。はい、翔くんはこれ」
「さすが」
勝手知ったるって感じで、松潤の家のソファーでグラスを傾ける翔ちゃん。
俺はムシャムシャとハムを咀嚼しながら、二人の様子をうかがった。
