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キラキラ

第31章 イチオクノ愛



「……それよりさ、相葉くん、で思い出したんだけどさ。あいつ、最近ちょっとおかしくね?」


ぽつんともらした翔ちゃんの言葉に、松潤は眉をひそめた。


「ああ……、確かにそれは俺も思ってる」


…………え?!どーゆーこと?


俺は、驚いて皿から顔をあげて、二人を見上げた。


翔ちゃんが、だろ?というように身を乗り出すと
、しゃがんでいた松潤は、俺のそばに胡座をかいて座り込み、うーんと難しい顔で唇をいじった。


「……具体的にどこが、って言われたら言えないんだけどさ」


「分かる。あれだろ。細かいことなんだけど、ここでこういうことをいつもの相葉くんならしないとか、言わないとかレベルだろ?」

「そう、俺らにしかわからない空気っていうか……」

「一緒に過ごして、分かるみたいな」

「そうそう」


俺は二人の会話をドキドキして聞いてた。

だってすごくない?
この二人、あいつが俺じゃないって見抜いてる。
いつもの俺じゃないって。

……すげー……なんか泣きそうなんだけど。


「どーする?あれ別人だったりしたら」


松潤がいたずらっぽく笑った。



おっと核心!!
クイズ番組なら、ブッブッってニアミスの音が鳴ってるよ!!


俺は一人でコーフンして、ハムを食べるのも忘れて、二人の会話を聞き続ける。



「え、じゃ、ほんとの相葉くんはどこだよ(笑)」


楽しそうに笑う翔ちゃん。
松潤は、んー、そーだなーと視線をさまよわせて、ピタリと俺をみて。


「……ハルオとか?」


ビンゴー!!!!


松潤!正解正解せいかーい!!!


俺はうんうんうん、とうなずいて見せた。


俺だよ!
相葉雅紀!!


ところが、そんな俺の仕草に二人は苦笑したものの、どうやらありえない話として片付けられた。


「……なんてね」

「ははっ……ファンタジーがすぎるだろ。パラレルワールドでもあるまいし」


翔ちゃんの一言に、松潤の顔が強ばった。

そんな松潤を見て、翔ちゃんも自分の失言を悟ったみたいで、しまった……というような顔になる。


「……翔くん、それ、笑えない……」

「まあ……確かに……笑えねーな」


二人して嫌な記憶を辿るような顔になった。

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