テキストサイズ

キラキラ

第31章 イチオクノ愛


俺も詳しくは、知らないけれど。

二人とも、過去に、パラレルワールドに迷いこむっていう、摩訶不思議な体験をしたことがあるって言ってた。

それは、現実にはありえないようなことだから、もしかしたら夢だったんじゃ……と、今となっては思ってしまうくらいだって。

そんなことあるはずない、と思ってた俺が、オカルト体験の番組に出たらいーのにーって気軽に言ったら、松潤にすげー怒られた。

どんな世界だったかは、あまり言いたがらないから聞いてないけど。
大変だったって言ってた。二度と思い出したくない、とも。

……ああ、でも、確か、翔ちゃんが一度だけぼやいてたな。
なんか、幼稚園児になってる俺とか、にのを世話してきたって言ってたっけ。
自分の設定が幼稚園の先生だったからって。
ウッソだーって、笑い飛ばしちゃったけど。


そして、確か……にのもそういうようなこと言ってた気がする。

一時期、寝るのを嫌がる時があったあの頃だ。
眠ったら、俺に二度と会えなくなるかもしれないってすごく怖がってたっけ。



…………ん?
待てよ。



俺は、ふと思い出した。
にのも翔ちゃんも松潤も、共通して言ってたことがある。

俺のソックリさんがいたって。
金髪で、ピーターパンのコスプレしたみたいなやつが、その世界を仕切ってた、とか。


金髪……

ピーターパン……


俺は、現場で、偽相葉と対峙したときのことを思い出した。

……そーいえば。

あの偽物が金髪にみえて、緑のへんてこな衣装を着た姿にかわりかけた一瞬があったぞ。


そうだ!!

きっとそいつだ!!!


ってことは、俺もそれに巻き込まれてるってことじゃん?!



この世界は現実だから、俺だけ変な格好になってるっていう、みんなと違うパターンだけど……!


ね、そーだよね?!


と、ハムも食わずにそこまで考えた俺は、二人に同意を求めるように顔をあげた。

すると。



「……タンマ。ここでは嫌だぞ」

「嘘。期待してるくせに」


腕をひかれた翔ちゃんが、ソファから引きずり下ろされて松潤の胸に転がりこんだところで。


……俺は腰を抜かしてしまった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ