
キラキラ
第31章 イチオクノ愛
はよー……と、小さな声が聞こえて。
ピクリと顔をあげれば、
「……あれ、ハルオ帰ってこれたんだ」
リーダーがキャップをはずしながら、穏やかに笑っていた。
昨日、にのが地味に俺を探し回っていたのは、みんな共通の認識だったみたい。
これまでの経緯を松潤が簡単に説明すると。
「良かった。あいつ、びっくりするだろーな」
自分のことのように嬉しがるリーダーに、松潤と翔ちゃんも、そうだね、と微笑んだ。
嵐っていーな……
そう感じるのはこういうとき。
みんな、他のメンバーの嬉しいことも悲しいことも、自分のことのように共有してくれるんだ。
リーダーが俺を抱き上げ、ぐーっと顔を近づけてきた。
やさしい瞳。
なんだろーな。
犬だからこその距離感ってのがあって。
人間同士ならちょっと照れる距離も、今の俺なら大丈夫ってゆーか。
だって、この距離でリーダーの瞳はなかなか見れないよ?
少し色素の薄いガラス玉みたいにきれいな瞳。
色んな意味でピュアなリーダー。
ずっとこのままのあなたでいてほしいな。
俺は、ペロッとリーダーの鼻の頭を舐めた。
ははっと声をあげて、リーダーの顔がふにゃりと緩んだ。
そのとき。
「おはよーっす……」
「おはよう!」
にのと偽相葉が、一緒に楽屋に入ってきた。
リーダーの肩ごし。
ドアの方を向いてた俺は、二人が入ってくるのがバッチリ分かった。
俺をみつけて、にのが、ほっとしたような、うれしそうな顔になった。
対して、その横にいる偽相葉が、表情を、一瞬消したのが分かって。
ざまーみろ!
また戻ってきてやったぞ!
バカ!!バーカ!!
くそったれ!
俺は、心で、もてるかぎりの罵詈雑言を吐いた。
「ハルオ……どこいってたんだよ……」
にのは、明らかに弾んだ声で、リーダーの腕から俺を抱き上げた。
茶色の瞳が嬉しそうに弧を描く。
偽相葉は、悔しそうな表情で、荷物をおき、冷たい口調で言った。
「にの。そんな犬ほっといて、メイク行こ」
なんだと、こら?
ムッとして、偽物をみやった俺。
だけど、にのの反応はもっと予想に反していて。
怒っているんだか、悲しんでいるんだか、なんともいえない表情になった。
そして、ゆっくり偽物を見上げて。
「……あんた……誰?」
と、言った。
