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キラキラ

第31章 イチオクノ愛


一瞬、何を言われたか分からない、といった感じで、偽相葉が動きをとめた。


もちろんその場にいた全員も、にのの言った意味がわからずに、顔を見合わせた。


でも、たぶん俺だけが……にのの言葉を理解した。


にのは、こいつが俺じゃないって。
見破ってる。
翔ちゃんたちも、この偽物がおかしいなって思ってくれてはいたけれど、にのは完全に俺とは別人だって……分かってくれたんだ。


やべ……泣きそうだ。


にのは、俺を抱き締めたまま、偽物に向き直り、静かに続けた。


「ずっと、なんかおかしいな……って違和感があったけど。気のせいだと思うようにしてた。でも、今の言葉で確信した。あんた……相葉さんじゃない」


にのは、キッパリ言い切った。

まわりの三人は、「……は?」というように目を白黒させてる。



「え?」

「にの?」

「……何いってんだ?」


にのは、三人の反応を無視して、俺を抱き締める腕に力をこめた。


「相葉さんは……俺が喜んでると自分も喜んでくれる。俺が悲しんでると、一緒にわかちあってくれる……そんな奴だよ」


にのに抱き締められてるせいで、にのの表情も偽物の表情も分からない。

だけど、その抱き締める力と口調で……俺は、本当に泣けてきた。


にの……!!



「……俺が、心底喜んでるときに……ほんとの相葉雅紀なら、ハルオを「そんな犬」呼ばわりなんかしねーんだよっ」


鋭い怒鳴り声。


瞬間。


パンっと何かが弾けた。


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