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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟

Jun



アパートメントの共用の風呂でシャワーを浴び、部屋に戻ってきたら、小さなソファに丸まって眠るサトコ様を見つけた。


「たった今です」


起こすのも気の毒で……、と、フウマが肩をすくめて、寝室からかけるものをもってきて、サトコ様にかけるのを見守る。


「ほんとに、ついさっきまで、明日も晴れるかなぁって呟いていらっしゃいました。そうですねぇ……って言って振り返ったら……こんな感じで」


ぷつんと糸が切れるように、眠ってしまったということか。


「……電池切れだね」


同じく、俺と一緒にシャワーを浴びてきたショウが、濡れた髪をうるさそうにかきあげて、苦笑いした。


仕方がないだろう。
ずっと歩き続け、ずっと気をはっていたはずだった。
疲れきってるはずだった。


俺たちも、正直クタクタだ。
ベッドに横になったら、秒で眠れる自信はある。


ソファの肘おき部分に頭をのせ、すうすうと眠るサトコさまは、いとしいくらい小さくて儚い。

丸いほっぺたに、花びらのような唇。
澄んだ瞳は、いつも毅然と真っ直ぐ前を向いてて。

これ以上ないくらい隙がないくせに、可愛らしい部分をかねそえてる姫様に、一瞬で惚れた。

なんとか興味を持ってもらえたらなぁ、と頑張ってアプローチしてたけど……サトコ様の横は、ミヤのものだということに、気がついてからは、半分あきらめつつ、それでもあきらめきれない部分で接してるのが本音だった。

たぶん……ショウも同じだろうけれど。


俺より少し低い位置にある、利発なおぼっちゃまに視線をうつす。
ショウは不審な目になって、口を尖らせた。



「……なんだよ」

「いや、なんでもねぇ……」


真面目なやつだからな。
きっと、いろいろ考えてんだろうけどな。

俺が提案した、サトコ様警護という名のこの旅に賛同するとは思わなかった。
だって、櫻の国は、親父さん筆頭にくそ真面目が勢揃いしてる一族だ。


何かあったらどーするつもりなんだかな……。
俺は、普段が普段だからどうとでもなるけど。

俺は、ショウとサトコ様をかわるがわる見つめて……思った。

……ショウのためにも、もちろんサトコ様のためにも、早くなんとかしなくちゃだよな…。

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