
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
ふと、ショウが息をのんだ。
俺も気がつき……なんともいえない気持ちになった。
「……どんな夢をみておられるのだろうね……」
ショウがため息混じりに言うものだから、俺は吐息をついて言ってやる。
「そりゃ、愚問だろ……」
「まぁ……ね」
濡れた髪をかきあげて、ショウが自嘲気味に笑んだ。
ソファに横になるサトコ様の閉じられた長いまつげのふちから……流れる涙。
キラキラ光るそれが、美しくて切ない。
咄嗟にその涙を拭ってあげたい衝動にかられたけれど、隣でショウが見ているから、なんとなくためらわれた。
サトコ様に触れるのは、本当に彼女に認められた人間しか許されないみたいな暗黙の了解が、俺らにはあった。
「……ミ……ヤ……」
その時。
小さく呟かれた言葉とともに、新たな涙がこぼれおちる。
改めてつきつけられる現実。
サトコ様の想い人は、俺たちではない、と。
分かってはいるのに、現実を思い知らされるたびに、ぐっと胸がつまった。
夢の中ですら、俺たちが介入できる隙はないらしい。
「……なんとかしてあげたいね……」
苦しそうな顔でショウがぽつんと言った。
「そうだな……」
俺は頷いた。
決して偽善ではない。
サトコ様の幸せを願う気持ちは真実。
だけど、この揺れ動く気持ちを、どう処理したらよいのか、たまに見失いかける。
自分の中での決着を早くつけなくては……と、最近思うようになった……のは、ショウにはまだ話してない。
そのうちに、切なさ全開の俺らを見ていられなくなったらしいフウマが、その場を取り繕うように口を開いた。
「ショウ様も、ジュン様も……お疲れでしょう。早くお休みください」
「……ああ……うん」
いや、でも……
俺はサトコ様を見つめた。
「……サトコ様どーすんだよ。このままソファなんかで寝かせられないだろ」
「あとでベッドまでお運びします」
「は?!お前が!?」
「……はい。まずいでしょうか」
すっとんきょうな声をあげた俺に、フウマが眉を下げて尋ね返した。
