
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
……いや、分かる。
サトコ様に恋愛感情なんて持ってない(はずの)フウマが、適任なのは分かる。
分かるけれども!
「なんか……嫌だな」
俺が、むすっと呟けば、ショウも、
「なんでお前?」
と、フウマをじろっと見る。
思いがけず俺たち二人から非難の目をあびることになったフウマは、焦りながら後ずさった。
「いや……別に私じゃなくてもいいですよね。ならお二人……どちらかにお願いします」
思わずショウと顔を見合わせた。
それはどっちがする?の目。
いや……こういう展開も、これはこれで困るんだよなぁ。
だって、サトコ様に近づけるチャンスでもあるんだ。
俺は、この役をやりたい。
そして、ショウもやりたいだろう。
顔を見合わせただけで、お互いが思ってることを理解した俺らは、自然と頷いてた。
腕まくりしながら、俺は、挑戦的な目をしてやる。
「ジャンケンかな……」
すると、腕をブンブン振り回して、ショウもにやりと笑んだ。
「恨みっこなしな」
「おい、フウマ。お前も入れ」
俺が言うと、フウマは、はあ?という顔をした。
「いえ……私は」
「いーんだ。安全パイもいれとくことにする。いいだろ?ショウ」
「うん。誰になっても文句は言わない」
「……そうですか?」
フウマが、こわごわと加わった。
「……っしゃ、いくぞ!」
「おう!」
「はい」
「じゃーんけーん……」
三人で見つめあい、ポン!!っとだす。
俺とショウがチョキ。
フウマがグー。
「…………」
「…………」
「…………」
フウマが、あきらかに、やってしまった!!という顔をした。
俺とショウは落胆を禁じえない。
「なんでお前…………」
ショウが苦笑いして、呟いたけど、ま、恨みっこなしだったな……と、持ってたタオルで頭をくしゃっと拭いた。
フウマだけが、どうしよう……と石になってる。
俺は、任せた、と言って、水をのみにグラスを手にとった。
「……なんのジャンケンですか?」
出し抜けに、寝ぼけた可愛らしい声があがって、一斉にそちらを見た。
すると両手で目をこすりながら、むくっと起き上がったサトコ様が、ぼんやりと我々の方を見てる。
「……なんでもありませんよ」
フウマが、ホッとした顔で、にっこりと応対した。
