テキストサイズ

キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


Satoko



次の日も、朝から医者を探すために、人の多い町の中心部に来た。

だが、昨日までとはうってかわって、どこを見ても結構な人の量だ。

むしろ人混み。

出店もたくさんでて、まるでカーニバルだ。

なぜだろうと思っていたら、二ノ国で行われる年に数回ある薔薇祭りの日であるらしい。

聞けば、二ノ国代々の王族は、みな薔薇がお好きで、紋章も薔薇であるとのこと。

城内も、様々な木々でちょっとした植物園状態だとか。

だからというわけではないが、国民みんなで薔薇を愛でながら、楽しく過ごしましょう、という日なのだそうだ。

人が多いのは、情報が入るかもしれない可能性の面ではよいが、お忍びで来てる俺たちには、少々危険であった。

俺たちの身分を知って、金目当てに襲ってくるような輩がいるかもしれない。
国から、連れ戻しにきてる家来が紛れてるかもしれない。


「……ちょっと用心しておきましょうね」


前を歩くショウが周りをさりげなく警戒しながら俺との距離を確かめた。
俺の後ろをジュンが歩く。

前後をショウとジュンに挟まれて、俺は、なんだか言い知れない安心感をおぼえていた。

ミヤの時とは違う、この感覚。

二人の愛は、まるで、兄のジュンイチといるみたいな、無償の愛と似ている。

下心はない、見返りを求めない、そんな嘘みたいな気持ちを彼らは、俺に向けてくれてて。

その想いを、俺は利用してるんじゃないか、と言われたら何も言えないし、心苦しい部分ではある。

でも、今、俺は確かにこの二人を頼りにしていた。

俺は、ショウが歩くスピードにあわせて、離れないように、その背中を追いかけた。





「んー……埒があかないなぁー」


ショウがぼやいた。

人が多すぎて、情報がまとまらない。

商売人は、みな忙しそうだし、そのへんに歩いてる奴をつかまえて聞き込んでも、この国の人間じゃなかったりする。


「……この国には役場のようなところはないのかな」


ショウが背伸びをして周りを見渡す。

すると、一区画ほど先に行ったところに警備の詰所のようなところがある、と言う。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ