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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟



「ジュン……俺、ちょっとあそこの警備の人たちに、このへんの地理聞いてくる。姫とここで待ってて」


俺らのいるスペースから、ショウがみつけた詰所までは、大道芸のパフォーマンスをしてる集団や、出店がたくさんあり、よりいっそうの混雑ぶりをみせていて、ショウは自分だけで行くことを提案してきた。


わざわざ三人でその人混みに飛び込むより、一人でサッと行ってきた方が効率的ということなのだろう。


俺は、あえて発言することは控えようと、背の高いジュンとショウを、じっと見上げた。

ショウの意図することを理解したジュンは、ちょっと考えて、頷いた。


「わかった。じゃ、頼む」

「うん……そうだ、姫。ついでに、なにかお飲み物でも買ってきましょうか」


ショウが、さりげなく気遣いをみせる。
日が上るにつれ、日差しで、乾燥してきた空気に喉がカサカサしてきていたところだった俺は、


「……ありがとう。じゃあ……お水を」


水を買うなんて、生まれてこのかたしたことなかったけど、せっかくだからお願いしてみる。


「承知しました」


ショウは、爽やかに笑って、その場を離れていった。


「姫。我々はあちらに座っておきましょう」


ジュンに促され、目を向ければ小さなベンチがある。
のんきに座ってる気分ではないが、ショウの帰りを待つほかは、今はできることはないので、おとなしく座ろうとした。



そのときだった。



………………待って、カエラ



雑踏のなか。

風にのって微かに聞こえた声。


……えっ!?


思わず振り返った。


「ミヤ……!?」


柔らかなトーン。
甘くて少し高めの声。

間違うはずがない。
俺が間違えるはずない。
聞きたくて聞きたくて…………聞きたかった声がした。

確かにした!!


「ミヤ!!!」

「……姫?!」


ジュンの制止する声を無視し、唐突に声が聞こえた方向に向けて俺は走り出した。

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