
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
Sho
警備の人たちに、この国の役場の位置を聞き、礼をいって、その場を離れた。
医者を片っ端からあたるのは、効率が悪いから、役場で、条件を絞って教えてもらえばいい……。
国に黙ってでてきてる以上、ミヤの捜索に、あまり長い時間をかけられないのが正直なところだった。
サトコさまとすごせることは、何よりも嬉しいが、やるべき公務をほったらかしにしているのもまた事実だから。
何もかも忘れて、この旅に没頭できたらどんなによいか。
真面目な性分故に、損をするよなぁ……と、出店に目を走らせた。
喉が渇いた、と、サトコさまのリクエストだからな……。
ただの水もいいけど、このへんのローズウォーターなんか、面白そうだなあ。
薔薇祭りならではの商品なのだろう。
美味しいのかな?
そんなことをのんきに考えていたときだった。
ガシャーンっ!
前方でものすごい音がして、はっと顔をあげた。
人混みの向こう側。
荷馬車などが、行き交う通路が騒がしい。
事故かな……?
こんな祭りの日に、事故なんて災難だなぁ……気の毒に。
俺は、サトコさまの分と、俺たちの分。
3つのコップを持って、二人と別れた場所まで戻り、ジュンの濃い顔を探した。
「あれ……?」
ところが、探せども二人が見当たらない。
どこか店にでも入ったのか?
キョロキョロしてると、道行く人の会話が耳に飛び込んできた。
「あの事故おこした荷馬車、王室のだってよ」
「あー。じゃ、あの怪我したやつ、もしかしたら城で面倒みてもらえるかもな」
「だといーけどな。にしても、一緒にいて泣いてた女の子すっげー綺麗だったなー」
「ああ……なんか貴族っぽい、姫様っぽい雰囲気だったな」
「倒れてたのも、なんか毛色ちがったろ?あれもどっかの貴族じゃないか?」
………………。
心臓が、すごい早さで鳴り出したのがわかった。
貴族っぽい、男女。
いや……それだけじゃない。なんて、いってたっけ……?
男が怪我……?
女が泣いてた……?
俺は、走り出した。
ざわざわとした人だかりをかきわけて、かきわけて。
先頭に躍り出た。
「…………っ!!」
持ってたローズウォーターが、指からすべりおち。その場にぶちまかれた。
