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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


Miya



この国ならではの祭りだという。


「どーせ何もすることないでしょう?私が一緒なら外にでれるわよ。行きましょ!」


と、半ばカエラに引っ張られるように、目下、国をあげて行われている薔薇祭りというものに出かけた。
一人の外出は見咎められてたが、確かにカエラが一緒だったからか、門番も何も言わない。
いかめしい顔をした直立不動の男の前を、らくらくスルー。

……いったい、俺の扱いってどうなっているのだろう。
そんなに、単独行動を制限してどうするというのか。


ため息をついて、カエラと共に馬車をおり、城下町に入った。
一緒に馬車に乗っていたショウリも、おりかけたけど、

「あんたは、そこにいて」

と、カエラにぴしゃりと拒否され、馬車で待機となった。

お二人きりで大丈夫ですか……?という子犬のような目をして心配する若い付き人に、苦笑いして、

「すぐ戻るよ」

と、声をかけてやった。

カエラは、サッサと歩きながら、あっけらかんと

「監視されてるみたいで息がつまるでしょう?」

という。

サバサバしていて男のような子だな、と思う。
なんだかサトコさまみたいで、好ましかった。

カエラは、うふふと笑って、早速、あちこち出店をのぞき始めた。


一年に二度ほどあるこの薔薇祭りは、近隣の国からも見物人が訪れるほど盛大なものであるらしい。

このニノ国の王室の紋章にも描かれてるほど、薔薇はこの国に愛されている花であると、カエラの説明をきき、城の庭がまるで植物園のようであったことを思い出した。

……そういえば、バラ園もあった気がする。



「みて。これ、ローズウォーターっていうの。飲んだことある?」


カエラは一軒の店の前で、綺麗に並べられてる水のようなものを指差した。


「……いえ」

「じゃあ、はい」


カエラは店先から、それをひょいととったと同時に、ポケットからお金を出してお代を支払った。


……その短いワンピのポケットに、金が入ってんのが驚きだ。


俺は渡されたコップを凝視する。

カエラは自分も同じようにコップに口をつけ、コクコク飲んだ。

恐る恐る口をつけた。

ふわりと薔薇の香りがした。

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