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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


Satoko



ここまで自分を呪ったことはないというくらい、呪った。


運ばれてゆくジュンの顔色は真っ青で……どうしようもなく目眩がした。


どうしよう……。
ジュンが死んでしまったらどうしよう……。


その思考だけに支配され、足元がふらつく。
倒れなかったのは、側にいたショウが、しっかりと俺の肩を抱いていてくれたからにすぎない。

城内の一室に案内されても、俺の体の震えは止まらず、ひたすらショウの手を握っていた。


「姫……大丈夫。大丈夫です」


ショウが、俺の背中を擦って何度も声をかけてくれる。

それはショウが、彼自身にも言い聞かせているようにも聞こえた。

握る彼の手が異常に冷たいのが、それを物語っているように思えた。



この城には専属の医師がいるという。
ご高齢な国王陛下の体調管理が主だった仕事だが、王室内の急患にも対応可能な優秀な人材だそうだ。

ジュンの処置もその人が対応してくれるとのことだが。


「最近も、外部からの受け入れが、一件あったのですが、もう危なかった老婦人も、先生のおかげで持ち直して、今は安定してます。それくらい確かな腕の医師なので……どうか安心してください」


王族の付き人をしてるという、可愛らしい青年が、元気付けるように声をかけてくれた。

だけど、ジュンの顔をみるまでは、ちっとも安心できない俺は、返事もろくにできなくて。

ショウが、かわって「ありがとう」と、言ってくれた。



震えながら、ずっとずっと、同じことを考える。

なにしてるんだろう……俺は。

俺に対する二人の気持ちを利用して。
こんなとこまでついてこさせて。
ろくすっぽ休憩もさせずに、引っ張り回して。

あげく大怪我をおわせて。


サイテー……


自分のしでかしたことが、怖くて仕方ない。
ポタポタ再び落ちる涙を、ショウが気遣って、指で拭ってくれたけど、そんなことにすら反応できないでいた。


「サトコさま……」

「…………」

「サトコさま」


返事のできない俺の肩にまわされた手があごにかかり、上向かされたと思ったら。


「…………」


ショウの唇が、そっと俺のに重なった。

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