
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
「……お二人きりで来られたんですか」
自分でも驚くような低い声がでて、すぐにしまった、と、思う。
こんな質問をしてしまう自分が嫌になる。
本来ならば、大怪我をした、というジュン王子の様子を聞くのが正解だ。
でもそれはサトコ様の付き人として。
あなたの恋人の立場を優先してしまいたい俺は、どうにもそっちが気になってしまう……。
案の定、サトコ様は、困ったように口唇をかみ、俺を見据えた。
マリウスの手前、痴話喧嘩は避けたいから、黙ってるのがよくわかる。
だって、その目は、
お前なにいってんの
と、非難の色に染まってる。
サトコ様は、軽くため息をはいて、
「……いいえ。ショウとフウマも一緒です」
と、いった。
「……そう……ですか」
ほっとする反面、男ばかりと行動してたんだな、と、若干イラっとしてしまった。
なんで、マサキ王子みたいな安全パイと動かない?
あなたに恋してる人物と動いて、なにかあったらどうするつもりなんだ?
何も考えてないサトコ様に、もどかしさを覚える。
そんな俺の表情を読んだのだろう。
サトコ様は、
「……あの三人は、私にとてもよくしてくれてます」
ぽつりと言って、マリウスと共に階段をコツコツとあがっていった。
残された俺は、その場に突っ立ったまま動けなかった。
わずかな時間に起こった出来事の濃密さと、己の想いとのバランスがとりきれずに、ぼんやりとしていた。
ショウリが探しにくるまで、ずっとそこにいた。
